ふりーものづくり所 かえると万年筆


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今はまだ波に飲まれている途中
〜津久井智子インタビュー〜

「漫画家に憧れていたんです。最初の内"消しゴムはんこ"は、ちょっとしたお小遣い稼ぎくらいの気持ちだったんですけどね……」
漫画家に憧れていた1人の女性が"職人"そして"先生"と呼ばれるようになるまで、 どんな道を歩んで来たのだろうか。

気にコト。「津久井智子」編。
第2週目は津久井智子さんの人物像にスポットを当てます。


"象夏堂(しょうかどう)"消しゴムはんこやの屋号
「象と夏が好き、その2つを組み合わせただけ、音とか響きがいい感じかなくらいの軽い気持ちで付けたんです。 元はといえばフリーマーケットで1日限りのつもりで付けたものだから長く使うことになるなんて考えてもいませんでした。今となっては気に入っていますけどね」


津久井さんの印象を尋ねられたらこう答えるだろう。
"気さくに話が出来る人、そしてとてもよく笑う人"
しかし当人いわく
「本当は凄く人見知りで初対面の人と雑談するのは苦手なんです」
と意外な答えが返って来た。
そういう印象を受けないことを伝えると、
「消しゴムはんこは自分にしか教えられないことだから、自分が伝えるべきことは一所懸命、話せるんです」
笑いながらもそう答える津久井さんの姿に職人としての片鱗に触れた気がした。

消しゴムはんこ職人?
津久井さんは"消しゴムはんこ職人"と呼ばれ、
現在(2007/5/14時点)までに、本が5冊出版されている。
しかし、"消しゴムはんこ職人"……。
普段、聞くことのない職業である。
「職人ていうのも自称、自分が名乗ればそう呼ばれるだけ。ハッキリ言ってまだ自分の肩書きが何なのかはわからないですね。 作家でもない、アーティストでもないですし、どちからと言ったらデザイナーに近い感覚なんです。そもそも職人ていうのがどういうのか、わからないんですよ(笑)」
しかし世間は次第に津久井さんのことを"消しゴムはんこ職人"として認知していくことになる。


はんこ教室の見本のバッグ

象夏堂の始まり
大学を卒業後してから数ヶ月が経ったある日、津久井さんは"消しゴムはんこ"をフリーマッケットに出店することになる。
「そもそも、フリーマッケットに出店することも最初は乗る気ではなかったんです。 "消しゴムはんこ"は私の周りでは皆作っていて、多少の上手い下手はあってもお金を出して買う物だなんて思っていませんでした。 でもフリーマッケットを主催してた友達が"いいから出してみなよ"と言うので試しに出すことになったんです」
試しに出店した"はんこや象夏堂"。
世間の反応は津久井さんの想像とは違うものだった。
初めて出店した"はんこや象夏堂"の消しゴムはんこはあっという間に売り切れたのだ。
「驚きました。そして買ってくれた方々が"このはんこに名前を入れてくれ"とか"お店のロゴを考えてくれ"とか要望を出して来たんです。 そしてその時にオーダーメイドの楽しさに目覚めたんです。自分でデザインした物を単に売るより、人の要望に応えて、 その人のことを考えながら作ることの面白さに。"売りたい"という気持ち自体が元々あまり無くて、それより喜ばれることが好きですから」
オーダーメイドの消しゴムはんこ作りの始まり。
初めての出店後、津久井さんはアルバイトをしながら片手間にはんこを制作する日が続く。
そんなある日、津久井さんの活動を知ったTV関係者からTV出演の依頼が舞い込んでくる。
「TVに出た反応もあって、今まで片手間のつもりだったのが、凄く忙しくなってしまい仕方なくバイトも辞めたんです」
消しゴムはんこの制作に追われる日々、津久井さんを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく。
「将来のことを悩やんだり、迷ったりする間もなくTVに出たり本を作ることになってしまって、 それでこれはやれるところまでやろうと……。 波が去ってからプロとしてやっていくのか考えようかと思っています、 今はまだ波に飲まれている途中ですかね、必死に泳いでいる途中です」


幼い頃からの憧れの職業
「漫画家は小学生の頃からの夢でした。自分が一番好きでシックリくるのが漫画だったんです。 大学を卒業して1年間は好きに漫画を描いて、気持ちが揺らいだり芽が出なかったりしたら就職しようと考えてました」
環境の変化、そして
「でもオーダーメイドに応える内に、どんどん消しゴムはんこ作りの方が好きになっていって……。漫画は読む方が好きなことに気が付いてしまったんですよね」
だが本を制作する過程で漫画を掲載する機会も訪れることになる、
「あとがきを書けって編集さんに言われたんです。それで文じゃなく漫画を描いて見せたらOKが出たので載ることになりました。 本を作るのも凄く楽しいんですよね、どういう構成にしたら読みやすいかとか、どうしたら"消しゴムはんこ"を作りたくなるかだとか、 編集さんと相談して考えてながら作っていくのが凄く楽しいんです」

趣味のはんこではなく仕事のはんこ作り
「はんこは趣味で作るより仕事として作る方が楽しいんですよ。仕事だから1個のはんこを作っだけで凄く喜ばれたり、 いろんな人に見てもらったり、教えたり出来るので。 出来ることなら楽しくなかったらやりたくないですね、自身も楽しまなきゃいい物は出来ないと思いますし」

消しゴムはんこ以外の時間の過ごし方
「やっぱり漫画は好きなんでよく読みます。ジャンル問わず面白いと聞いたものはなんでも。 あと料理は大好きですね、作るのも食べるのも(笑)。料理は、はんこと比べて身体も使うんでいい気分転換になるんです」

将来の夢は「自給自足の肝っ玉母さん」という津久井さん、では身近な目標はどんなものなのだろうか?
「本に関してはまだ作ってみたい物がありますね。あと消しゴムはんこは需要がある内はやろうと思っています。 けど、ブームだから今やっていることがずっとやって行くことではないと何時も思ってはいるんです。 その時求められていることを全力でやって、 求められることが無くなった時に好きなことが出来るようでありたいとは思っています。
その時は沖縄移住とか、農業とか、子育てとか、 はんこカフェ経営とか。カフェではんこ作りをする時が来たら、のんびり作りたいですね」

最後に津久井さんの感じる"消しゴムはんこ"の魅力を聞いてみた。
「やっぱし身近な材料で手軽に作れること。そして彫る楽しみ、押す楽しみ、見せる楽しみ、が全部違う楽しみであることですかね」

津久井智子(つくい・ともこ) 消しゴムはんこ職人
1980年生まれ 埼玉県出身

活動
2003年、象夏堂として初のイベント参加。
その後、はんこ教室、本の制作など活躍の場を広けることになり、
2005年、11月、初のはんこ本「消しゴムはんこ。」 出版。
2006年、7月「またまた、消しゴムはんこ。」 出版。
同年11月「消しゴムはんこ。で年賀状」 」出版。
そして2007年、3月「布に押す、消しゴムはんこ。」
4月「かんたん、消しゴムはんこ。」 』2冊を連続出版。



津久井さんの教室の様子が知りたかったら

第1週「削って、彫ってぺったんこ(教室編)」

消しゴム博覧会の様子が知りたかったら

番外編


2007/5/14 文・撮影/じゃがいもクラッチ


"津久井 智子"さんの本が2冊も新発売!!
初めて消しゴムはんこをするならこの一冊。
2007/4 宝島社
かわいい図案が沢山。布にはんこを"ぺったん"
2007/3 ブティック社

教室の予定や、もっと消しゴムはんこのことが知りたかったら津久井さんのHPへ

はんこ屋 象夏堂



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